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高森明勅
2023.5.31 10:37皇室

皇室と国民との間の信頼関係の大切さを巡る園部逸夫氏の指摘

小泉純一郎内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」の
座長代理を務められ、『皇室法概論』などのご著書がある
元最高裁判事の園部逸夫氏。

現代における皇室法・皇室制度研究の第一人者と申し上げて、
敢えて過言ではないだろう。

その園部氏が、天皇・皇室を巡る制度が安定的に維持される為に
欠かせない「前提」は、皇室と国民との間の“信頼関係”であると
指摘されている(『皇室法入門』)。
以下に関連部分の一部を抜粋させて戴く。
「皇室と国民との信頼関係の基本は次の点にあると考えている。

すなわち、

①国民が、皇室制度は国家にとって必要であり、また、
大切な制度であるということをよく理解した上で、そうした制度を
担われている皇室に感謝し敬愛の気持ちを持つこと

②皇室が、国民の皇室に対する期待や希望を受け止め、
それらに対して様々な形でお応えになること

であり、皇室と国民が共に歩んでいくということが
重要であると考えている。

もちろんこうした信頼関係の基本にある双方の在り方は
強制されるようなものであってはならず、むしろ強制されるような
状況は信頼関係が危うい状況であり、強制されずに維持されることが
皇室制度安定の基礎であると言えよう。

またこの信頼関係を維持するためには、皇室の在り方について
国民が希望や意見を述べる自由が確保されることが大切である。
そして同時に意見を述べる際にたしなみが必要であるという点も
重要である。

…そうした意見は事実に基づくものであることが大前提である。
…限られた方々により構成されている制度について、その制度を
構成される方々を批判することは制度自体を批判することに
容易につながり、それがひいては制度自体を否定することにも
つながりかねないという危険をはらんでいる」
傾聴すべき指摘だろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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